高齢化に伴い、日本で急増している認知症患者。
今、その認知症患者の徘徊による事故死が後を絶ちません。
そこで今回、年々増える認知症患者とその周囲の実態、そして、今後徘徊による事故死を未然に防ぐために必要となっている対処法として、顔認証による徘徊感知器を紹介いたします。
年々増える認知症患者
認知症の患者数は年々増加傾向にある、2025年には700万人を突破すると言われています。
つまり、高齢者の内の5人に1人が認知症患者である、ということです。
国もオレンジプランの打ち出しなど早急な認知症対策を急いでいます。
認知症とは?
認知症とは、様々な原因で脳の細胞が死んでしまったり、脳の細胞の働きが悪化したために障害が引き起こされ、生活する上で支障が出ることを指します。
よく勘違いされる物忘れと認知症ですが、物忘れは加齢に伴う記憶力の老化で、60歳頃を境に起こる極自然な現象のことです。
加齢による物忘れは、「うっかり物をどこにしまったか忘れてしまう」など、自分が「忘れている」という自覚が残っています。
一方、認知症の症状としての物忘れとは自分が「忘れている」ということが全く無自覚で、体験自体を脳の中から喪失していることになります。
認知症患者とその家族の実態
認知症患者の家族と患者自身の心の行き違いも問題となっています。
認知症になると脳の機能低下により、感情の起伏がコントロール出来なくなります。
それにより、患者自身が家族に暴言を吐いたり、突然の暴力が出てしまうことがあります。
しかし、これは全て認知症によって引き起こされた症状であり、患者自身も抑えることが出来ません。 今までとは違うポイントで、急に怒り出してしまったり、とっさに暴力が出ることがあります。
このような時は、慌てずに家族の方で、関わり方を考えてみましょう。
認知症になると、周囲からの言動や行動によってどんな感情(恐怖、不安、恐れ)が引き起こされ、どんなアクションを取ってしまうのか家族の方が理解する必要があります。
認知症の種類によっても感情の起伏が起こるきっかけの傾向は異なりますから、時には担当の医師に相談し、相手の現実を理解する努力で解決できる場合があります。
増える認知症患者の徘徊事故
2007年、愛知県大府市で認知症で徘徊中の男性(91)が列車にはねられ、死亡する事件がありました。
男性は妻と、介護のために横浜市から転居してきた長男の嫁の3人で暮らしており、2人が目を離した隙に家を出て徘徊し、列車にはねられて死亡。
一審では長男と男性の妻に約720万円の支払いを命じる判決、二審では妻のみに360万円の支払いを命じる判決が下され、障害者と健常者の共存を認めないのかという批判の声も多く上がりました。
しかし最高裁では上告した妻には賠償責任がない、という判決を下し、高齢者の介護の現場に影響を与えました。
軟禁や拘束など、人権的な問題が叫ばれている介護施設に不安を覚え、住み慣れた自宅での療養を、ということで選んだ自宅療養でしたが、やはり完全に自宅療養で徘徊を防ぎ切る、ということには限界があり、今後の課題となっていくでしょう。
施設でも、人員の配置には限界があり、徘徊を防止しきれず責任問題に発展しているのが現実です。
徘徊感知器による防止策
今、様々な介護施設で導入されているのが徘徊感知器です。
徘徊感知器とは、認知症の高齢者が屋外へ出ようとした際、それを感知して家族や施設の管理者などへ知らせる機器のことです。
徘徊感知器には高齢者が知らない間に外出し、行方不明になり危険な目に合わないようにする役割があります。
軟禁や拘束など、身体的な束縛をせずに認知症患者を危険から守ることができます。
まとめ
団塊の世代が高齢者になる2025年、認知症患者数は700万人に及ぶという予測があります。
それに伴い、全員が介護サービスを受けられるとは限らないとも言われています。
施設側の人員が確保できないことから、これからますます徘徊事故が社会問題になっていくことが予想され、時代背景に合わせた新しい対策が必要になってくるでしょう。
顔認証による徘徊感知器を、その選択肢の一つとして入れてみては如何でしょうか。