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  • 深刻化する高齢者の徘徊。私たちはどうするべきか。

1月18日のyahooニュースにて、このような記事を目にしました。
認知症「1000万人」社会がやってくる!」 - Yahoo!ニュース

現在、日本は高齢化社会を超える「超高齢化社会」に進みつつあり、それに反し若者の生活状況は遅々として改善しない状況にあります。
そのような状況の中、認知症を患った高齢者が今後より一層増え続けているという問題が今、この日本社会に起きています。

私達はどのようにして、認知症高齢者の方と向き合っていくべきか。
今回はこの問題について解説していきます。

急増する高齢者

高齢者推移予想

「高齢者社会」という言葉が登場したのは昭和45年(1970年)。当時の国税調査では、日本の人口における65歳以上の方は7.1%でした。
1995年の調査ではそれが更に増加し、14.6%となっています。
そして、直近である2010年の国税調査では23.0%にまで増加しています。
ここ10年はおよそ2.0~3.0%ずつ高齢者の割合が上がっていることから、2015年に行われた国税調査では、更に高齢者の割合が増していることと予想されます。

現在の日本の総人口は1億2,800万人。
その23%に当たる2,944万人が65歳以上の高齢者と考えると、それがどれだけの多さか実感できるのではないでしょうか。

高齢者の徘徊が引き起こす深刻な事故

高齢者の方が安心して生活してもらえればそれに越したことはないのですが、問題は認知症を患うことによる様々な事故や事件、そして徘徊です。
また、交通事故のリスクも健康な方と比べると格段に上がります。
特に、これまで通り自動車を運転していても、判断力の低下から逆走や暴走を起こし、交通事故を発生させる事例が年々増加しているのも事実として受け止めなければなりません。

そもそも認知症とは「認知症とは、正常に働いていた脳の機能が低下し、記憶や思考への影響がみられる病気」であり、認知症を起因とする事件の場合、本人の意としないケースも多々あります。
いわゆる「心神耗弱者」として考えられるケースも考えられ、この場合は介護者である家族に責任の所在を求められるケースすらありえます。

介護施設は既に限界に来ている

高齢者とその家族のセーフティーネットとも言える介護施設も、すでに限界を迎えています。
その結果が、時折ニュースで目にすることのある介護施設の虐待事件です。

介護施設で過去に発生した虐待事件

  • 2014年11月から発生していた、神奈川県川崎市の老人養護施設による連続転落死事件。
  • 2015年7月、千葉県四街道市の老人養護施設における女性入所者に対する暴行事件。
  • 2015年8月、宮城県仙台市の介護付き有料老人養護施設における入所者に対する暴行事件。
  • 2015年9月、大阪府大阪市の特別養護老人養護施設における入所者における暴行事件。

これらの事件はもはや珍しいものではなく、特に川崎市の老人養護施設における転落死事件は同じ施設で何度も起こったため、世間からの注目も大きな事件でした。

なぜ入所者の虐待は起きるのか

入所者虐待の原因として、当初は「立場の弱い高齢者に対する鬱憤晴らし」とする見方もありました。しかし、現実は「入所者に対する介護疲れと低賃金からなる不満」と見るべき状況にあります

介護の現場は常に人手が不足しており、2015年8月における有効求人倍率は2.68倍と、他の職種に比べても高くなっています。
にも関わらず、賃金の平均は年収260万~280万円。常に気を払い、日夜問わず入所者の対応に迫られる職種と鑑みるとあまりに低いと言わざるを得ません。

入所者はいつ体調を崩すかも分からず、更に徘徊や暴力事件を度々起こしてしまうケースも見られます。
認知症によって正常な思考や理性のストッパーが効かなくなってしまうことにより、数人がかりで対応しなければならないケースすら見られます。
対応中の怪我も多々あるだけではなく、排泄物の処理などもあり、苦痛の多い仕事と言っても差し支え無いでしょう。
それに対し、果たして年収260万~280万円という額は、これらに見合った報酬と言えるでしょうか?
その結果が強い不満となり、表面化したのが暴行・虐待という行為です。

高齢者徘徊に対する国の対応

このような入所者虐待問題に対し、国は入所待機者の解消に向けた「施設の大幅整備」や「職員の確保」、そして第三者機関の監査を設ける「福祉サービス第三者評価事業」の活用を軸にした改善方針を表明しています。

更に、高齢者徘徊などの認知症を患う高齢者に関しては、ボランティアや地域サポーターといった地域ぐるみでの活動や認知症の早期発見と改善、適切な介護などの提供を据えた「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」を打ち出しています。

しかし前者に関しては、施策は全て事業者と介護者、そして第三者機関ありきの施策です。
これには次のような問題点があります。

  • 介護報酬からなる抑え込みの未改善
  • 介護者の置かれている状況改善に対する不透明さ
  • プラント第三者機関による厳正化により発生する介護事業者の更なるコスト上昇
  • 第三者機関設立にかかる新たなコスト発生、人材捻出

新オレンジプランも大学生やボランティアを起用した地域サポーター、考え方の見直しといった「基本無償」を軸としている部分も見受けられます。
前述の通り、低賃金にて起こるフラストレーションも入所者虐待の一員と考える中、無償奉仕とも言えるボランティアの採用は、却って高齢者を危険に晒しかねません。
全てとは言いませんが、あまりに現状と乖離している。
あるいは、現状でもままならない状況を「こうするべきだ」と言い直しているように思えてなりません。

本来であれば、最もするべきことは介護報酬を拡大し、介護業に対する適正な報酬を支払い、加えて設備整備を行う「介護環境の是正」のはず。
これ無くして施設と問題の解決を図ろうと考えても、自体が解決するとは考えにくいのではないでしょうか。

また、2023年以降の中長期資産が未発表であることも不安材料と言えます。
仮に消費税が10%以上になり、税制が改善されたとして状況が良くなるかは不透明。加えて老朽化しつつある公共事業の整備も考えると、果たして改善の目処があるのでしょうか。

もし改善の余地なく、このままの状態が進めば介護職から離脱し、転職を図る「介護離脱」が深刻化するでしょう。
そのような事態が起きた時、介護事業は立ちゆかなくなり、自宅介護が一般化してしまうことは明らかかもしれません。

高齢者徘徊は、私たち全国民の問題

高齢者徘徊は、私たち全国民の問題

先のことは誰にもわからず、当面は政府の出したプランに沿って進んでいく他ありません。
しかし、今直面している高齢者徘徊の問題を、地域でサポートするとなれば人の目では到底足りません。
ましてや、監視カメラでは確認するための時間を費やしてしまいます。
また、改善には現場の声を政府に届ける必要もあるでしょう。

そのような時に、徘徊者を防止できる顔認証システムを導入するなどして、より人件費をかけずに高齢者の方を見守る仕組みの構築が求められるかもしれません。
同時に、自宅介護にかかる費用についても、国と国民が共に取り組んでいかなくてはならないでしょう。

高齢者の方々を保護することで自分自身とその立場も守る。
高齢化社会を超える「超高齢化社会」となりつつある日本に。
認知症を患う方に対し「隔絶」ではなく「共存」の手立てを考えてみませんか。

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